日本皮膚科学会雑誌
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98 巻, 4 号
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  • 石井 則久, 中嶋 弘, 永井 隆吉
    1988 年 98 巻 4 号 p. 403-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    同種皮膚移植の免疫学的解析のため,まず移植皮膚の生着期間延長の試みを行った.レシピエントマウスと移植皮膚との遺伝的な差がH-2,non-H-2のいずれの場合も生着期間が短縮した.しかし差が免疫グロブリンのアロタイプのみの場合は生着した.次にレシピエントマウスにT細胞,増殖性T細胞,H-2クラスⅡに対する抗体を静注処理すると,いずれの場合にも生着期間が延長した.またレシピエントマウスヘの抑制性T細胞の静注や,移植皮膚をUVB処理することによっても移植皮膚の生着期間延長が観察された.
  • 鈴木 裕介, 東 一紀, 増澤 幹男, 西山 茂夫
    1988 年 98 巻 4 号 p. 409-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    抗von Willebrand factor(VWF)マウス単クローン性抗体を用いた免疫組織化学により各種脈管性皮膚疾患を染色し,抗第Ⅷ因子関連抗原(factor Ⅷ-related antigen,FⅧ-RAg)ウサギ抗体の染色所見と比較検討した.その結果,正常・病的を問わず,抗VWF抗体の方が抗FⅧ-RAg抗体よりも背景の非特異的染色性がはるかに少なく,抗VWF抗体の陽性像はすべて特異的局在を示した.疾患別にみると,Pseudo-Kaposi肉腫においては,抗VWF抗体では管腔様構造をとりながら増生する内皮細胞(endothelial cell,EC)のみに一致して陽性像を得たが,抗FⅧ-RAg抗体ではこの像以外に細胞の分布とは関係のない不規則な浸み出し状の陽性像を得た.また毛細血管拡張性肉芽腫および単純性血管腫において,抗VWF抗体では,特に管腔形成部位の管腔壁に沿って線状に全周性に陽性像を呈したが,集塊状増殖部位のEC細胞質に対しては弱陽性であった.モンドール病における抗VWF抗体では狭窄した管腔壁に配列するECに対して特異的に陽性像を得た.尚,これらの血管腫,モンドール病における抗FⅧ-RAg抗体染色所見は,抗VWF抗体染色所見と同じ局在を呈した.リンパ管腫では,抗VWF抗体により明らかに陰性のものから扁平化したECの一部に特異的局在を示すものまでみられたが,抗FⅧ-RAg抗体よりもはるかに非特異的染色性の少ない局在を得た.以上より,抗VWF抗体を脈管性皮膚疾患に応用することは,組織内血管の同定,血管とリンパ管との鑑別により一層役立つものと考える.
  • 寺本 範子, 衛藤 光, 上村 仁夫, 西山 茂夫, 小出 朝男
    1988 年 98 巻 4 号 p. 417-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    全身性エリテマトーデス(SLE)患者において血清CPKが低値となる傾向があることに注目し,外来受診中の膠原病患者124例,SLE76例,Mixed connective tissue disease(MCTD)9例,亜急性エリテマトーデス(Subacute LE)8例,円板状エリテマトーデス(DLE)7例,全身性強皮症(PSS)24例,対照群としてステロイド剤投与中の水疱症患者23例(尋常性天疱瘡11例,水疱性類天疱瘡8例,落葉状天疱瘡2例,Senear-Usher症候群2例),健常人449人の血清CPK値を検討した.その結果,SLE患者においては有意に血清CPKは低値であり,SLEに特徴的なものであると考えた.又,SLE患者の臨床経過とCPK値についての検討を行ったところ,SLEの病勢と相関してCPK値が変動する症例が認められた.SLEにおけるCPK低値のメカニズムは現在のところ不明であるが,疾患特異性のあるものとしてここに報告した.
  • 神谷 哲朗, 土屋 秀一, 原 健次, 岡本 暉公彦, 服部 瑛, 田口 修之
    1988 年 98 巻 4 号 p. 425-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    慢性腎不全を有する透析患者に多発する乾燥性皮膚病変について,角層水分量,経皮水分喪失量並びに皮表表面構造の解析を行った.その結果,腎透析患者では健常人に比較し角層水分量,経皮水分喪失量は極めて少なく乾燥性皮膚を反映する結果を得た.また皮表表面構造(5次レリーフ)については乱れをみとめた.
  • 林原 利朗
    1988 年 98 巻 4 号 p. 431-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    加齢に伴う真皮GAGs減少の原因を解析するため,60歳以上老年群9例,6歳以下若年群8例の正常人非露光部から採取した真皮を培養して得られた4代目(cell population doubling time 7)線維芽細胞を用いて,細胞倍加時間および単位時間・細胞あたりの培養液中へのGAGs蓄積量を測定し,群間の成績を比較検討した.細胞倍加時間は老年群(N=9)91.7±31.2時間,若年群(N=8)45.3±12.6時間で,老年群に有意の延長が認められた(pく0.05).GAGs蓄積量(ウロン酸値)は老年群(N=8)1.87±0.64×10-12g/cell/hr,若年群(N=8)1.96±0.38×10-12g/cell/hrで,両群間に有意差はみられなかった.セルロースアセテート膜電気泳動およびカラムクロマトグラフィーによる分析では両群ともHAが大部分を占め,小量のDS,Ch4sも認められたが,両群間の差は認められなかった.同一実験条件により蓄積されたGAGsに量的な差が認められなかったことは,GAGsの線維芽細胞による産生・分解系の動態の一面を表現しているものと考えられる.
  • 山村 達郎, 手塚 正
    1988 年 98 巻 4 号 p. 439-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    塩化コバルト紙を水分量のインジケーターとし,発光ダイオードとフォトトランジスターを用いた新しい経表皮水分蒸散量(TEWL)測定器を開発し,エバポリメーターとの相関性について検討を行った.下腿前面皮膚のTEWLを新しい測定器とエバポリメーターを用いて同時に測定したところ,両者の測定値の間には,良好な相関関係が認められた.したがって,今回開発した測定器は,簡便で安価な装置であるにもかかわらず,その測定値は,信頼度の高いことが示された.
  • 増子 倫樹
    1988 年 98 巻 4 号 p. 443-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    年齢による脂腺の形態の変化を知るために各年代計14例の女性の前額部の正常皮膚を生検し,光顕切片を作製し,画像解析により脂腺腺葉および脂腺細胞の面積を測定した.さらに,それらの連続二次元画像を入力し,立体像を構築し,その体積を求めた.また,電顕的に各脂腺の微細構造を検索した.脂腺腺葉の断面積は20歳代で最大となり,10歳以下と70歳以上では20~40歳代と比べて有意に小さい.脂腺の体積は10歳以下では小さく,10歳代より増大し,20歳代で最大となり,50歳代から縮小する,という年齢的推移が認められる.脂腺細胞の断面積,体積は青年期が最も大きく,老人,小児の順に小さくなり,脂腺の体積の増大は脂腺細胞の数の増加と個々の細胞の大きさの増大によると考えられる.微細構造的に,大きな脂腺の周辺細胞は立方形で多層化し,成熟細胞はほぼ大きさの揃った脂質滴で充満している.小児,老人の小さな脂腺では,周辺細胞は扁平,1~2層で,成熟細胞は大小不揃いの脂質滴を含有している.以上,女性前額部の脂腺は加齢に伴う形態学的変化を示すといえる.
  • 斎田 俊明
    1988 年 98 巻 4 号 p. 453-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    足底悪性黒色腫初期病変の病理組織学的特徴が,足底悪性黒色腫にみられる色素斑性病変部の所見と同等であろうとの考え方のもとに,後者を詳しく検討することによって,初期病変の特徴を推定しようと考えた.今回の検索によって,acral lentiginous melanoma型の足底悪性黒色腫原発巣部にみられる淡褐色から濃褐色,黒色までの濃淡差のある色素斑部においては,異型メラノサイトの表皮内での増殖の程度に応じて,われわれがphaseⅠ,Ⅱ,Ⅲと名づけた下記の如きかなり特徴的な病理組織学的所見のみられることが明らかにされた.phaseⅠ:主として表皮基底層部に(異型)メラノサイトが個別性に疎に増数する.phaseⅡ:表皮突起内や表皮下層部を中心に異型メラノサイトが主として個別性にかなりの密度で増数する.phaseⅢ:表皮のほぼ全層にわたって異型メラノサイトが個別性に増数し,とくに表皮下半部に増数が顕著である.また,しばしば表皮下層部に大小,不規則形の胞巣形成がみられる.足底悪性黒色腫の色素斑部では,以上の各phaseが,臨床的な色調の濃淡にほぼ対応して,不規則に配置されて見出された.このphaseⅢまでの段階においては,異型メラノサイトの増殖は表皮内にほぼ限局されており,真皮内への明らかな侵入,増殖は認められない.従って,この部分に限っていえば,ClarkらのlevelⅠ,すなわちAckermanのmalignant melanoma in situの段階に相当するものであるといえる.これらの検索結果から足底に生じる悪性黒色腫早期病変(acral lentiginous melanoma in situ)の特徴を類推すると,臨床的にはおそらく淡褐色から黒色までの濃淡差のある非定型な色素斑性病変としてみられ,病理組織学的には上述のphaseⅠ,Ⅱ,Ⅲの各所見が不規則に混在した状態で認められるものと予想される.このような検索を通して,足底悪性黒色腫早期病変の臨床的,病理組織学的診断基準が将来,明確化されるに至れば,その早期診断が容易となり,本邦人の悪性黒色腫の予後は大幅に改善されるものと期待される.
  • 栗田 依幸
    1988 年 98 巻 4 号 p. 461-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
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    皮膚悪性腫瘍の局所浸潤・増殖機構を,各種protease活性を中心に,腫瘍細胞とその周辺組織構成細胞との相関関係の下に検討した.①腫瘍細胞として,ヒト悪性黒色腫細胞(G-361)とヒト線維肉芽腫細胞(HT-1080)を用い,各々の培養上清(conditioned medium:C.M.)存在下にヒト正常皮膚から得た線維芽細胞(normal human cutaneous fibroblast:NHCF)を培養後,NHCF細胞内のprotease活性(産生)系に及ぼす影響を検討した.その結果,G-361のC.M.を加え培養した系では,C.M.無添加系と比べ,cathepsin B,hemoglobin(Hb)-hydrolase,acid phosphatase,plasminogen activator(PA),typeⅠ collagenaseのいずれもその活性に差は認められなかった.一方,HT-1080のC.M.存在下に培養したNHCFでは,add phosphatase,PA,typeⅠ collagenase活性には有意差を認めなかったが,cathepsin BとHb-hydrolaseの活性は添加したHT-1080のC.M.の濃度に依存して上昇を示した.一方,HT-1080のC.M.はNHCFの増殖には影響を与えなかった.以上より,HT-1080のC.M.中にはNHCFに選択的に働き,そのcathepsin B,Hb-hydrolase活性(産生)系を選択的に上昇させる因子の存在が示唆された.②この活性(産生)系上昇因子は,加熱,トリプシン処理には安定であったが,透析により活性が消失した.従って,この因子はその活性発現に立体構造を必要としない低分子物質であることか示唆された.従来,各種悪性腫瘍細胞はその浸潤・増殖・転移を容易ならしめるために,その周辺構成マトリクスを分解するprotease系の産生・放出を自ら高めていることは明らかにされていたが,本論文の結果は,それのみならず,少なくとも線維肉腫細胞は同系のNHCFに働き,そのprotease活性(産生)系を賦活せしめるような低分子物質を産生・放出していることが示唆された.
  • 前田 哲夫, 黒田 秀夫, 本好 捷宏
    1988 年 98 巻 4 号 p. 469-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    脂腺サイズ測定法ならびに14C-アセテートを指標とした脂質合成能測定法を用いて,ローヤルゼリー(royal jelly,以下RJ)およびその主成分の1つである10-ヒドロキシデセン酸(10-hydroxy-2-decenoic acid,以下10-HAD)のハムスター耳介脂腺におよぼす作用を測定した.RJおよび10-HDAは共に,1)アンドロジェン剌激によるハムスター耳介脂腺の肥大を有意に抑制し,2)14C-アセテートのハムスター耳介真皮への取り込みを有意に抑制した.10-HDAによる14C-アセテートの取り込み抑制効果はRJのそれの100倍であった.これらの結果から,RJによる脂腺肥大の抑制あるいは脂質合成能抑制効果にはRJ中の10-HDAが重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
  • 橋本 明彦, 増澤 幹男, 西岡 清, 鶴水 隆, 橋本 喬
    1988 年 98 巻 4 号 p. 477-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    アナフィラクトイド紫斑患者の口腔内歯面から高率に分離される,既知の型とは異なる性状のStreptococcus sanguisが同症の病因に関与する可能性を推測し,その培養上清につき血管内皮細胞のC1q,C4,C3cの補体成分結合能発現につき検索したところ,C3c結合能のみを発現させる因子の存在が示唆された.さらにアナフィラクトイド紫斑患者血清中にも血管内皮細胞のC3c結合能のみを発現させる因子の存在が明らかとなった.
  • 奥 知三, 山内 卓, 中山 富紀子, 村上 京子
    1988 年 98 巻 4 号 p. 481-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    ヒスタミンおよびCompound48/80を使った皮膚針試験を健常人8例,難治性アトピー性皮膚炎患者19例におこなった.アトピー性皮膚炎患者ではヒスタミンによる紅斑,膨疹,Compound48/80による紅斑の発現が抑制されていた.また,アトピー性皮膚炎患者をトラニラスト投与前・後で同様の針試験をおこなってみると,この薬剤によってCompound48/80に対する皮膚反応が有意に抑えられていた.このことから,アトピー性皮膚炎難治例では異常な皮膚血管反応がおこっており,トラニラスト投与によって肥満細胞よりケミカルメディエーターの放出は抑えられていたが,健常人と異なった皮膚反応を示していた.
  • 1988 年 98 巻 4 号 p. 485-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
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