日本皮膚科学会雑誌
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皮脂腺の脂質合成能におよぼす薬物の影響
鈴木 正巳栗原 敏夫前田 哲夫
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1988 年 98 巻 8 号 p. 783-

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抄録

皮膚付属器官の一つとして皮膚の機能に重要な役割を演じている皮脂腺の脂質合成能におよぼす各種薬物の影響を,シリアンゴールデン・ハムスターの耳介内側皮膚を器官培養する方法を用いて検索した.ハムスター耳介内側皮膚を薬物および14C-アセテート添加系にて6時間浮遊培養し,真皮か4C-アセテート取込量を液体シンチレーション・カウンターにより測定した.薬物としてビタミン類,抗脂血症薬そして和漢生薬類などについて検討した.その結果,ハムスター耳介内側皮膚の器官培養による真皮の14C-アセテート取込量の測定は簡便な脂質合成能測定法として利用できることが明らかとなった.そして,ビタミンB6・HCl,ビタミンE,ニコチン酸そしてクロフィプレートなどに脂質合成を抑制する作用が認められた.また,和漢生薬類の沢瀉と何首烏も強い抑制作用を示した.これら薬物の臨床応用の可能性が期待される.

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© 1988 日本皮膚科学会
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