新生仔マウスの微量凍結乾燥表皮組織を酵素源として,山本の方法により,表皮のヒアルロン酸(以下HAと略)合成酵素活性を測定した.UDP-N-acetyl-D-〔U-14C〕-glucosamine(以下UDP-GlcNAc-14Cと略)とUDP-D-glucuronic acid(以下UDP-GlcUAと略)を基質として,0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)とMg++の存在下に37℃,1時間反応させ,下降法ペーパークロマトグラフィーを行ない多糖体ポリマーとヌクレオタイドに分離した.原点にとどまる多糖体ポリマーの放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定し,以下の結果を得た.1)酵素源として表皮組織を含まない系および煮沸した表皮組織を用いた系では多糖体ポリマー合成活性はみられない.2)多糖体ポリマーは反応時間1時間まで徐々に増加する.3)多糖体ポリマーは表皮組織10mgまでほぼ直線的に増加する.4)本反応はpH依存性である.5)本反応において,基質(UDP-GlcNAc-14C)に対するみかけ上のKm値は1.25×10-5Mである.以上より本反応が酵素反応であることを確認した.更にゲル濾過クロマトグラフィーとヒアルロニダーゼ消化試験の結果より,多糖体ポリマーはHAを中心とした物質であると考えられた.また新生仔マウス10検体を用いて,表皮真皮のそれぞれについてHA合成酵素(以下HASと略)活性を測定し,表皮のHAS活性は真皮と比較して,単位重量当たりでは真皮の約半分,単位蛋白あるいは単位DNA当たりでは真皮の約1/4であった.
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