日本皮膚科学会雑誌
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A New Type of Viral Warts?―細繊維様構造細胞質内物質を有するウイルス性疣贅の存在―
江川 清文稲葉 葉一大石 空荒尾 龍喜
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1989 年 99 巻 12 号 p. 1265-

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抄録

足底に多発する白色調点状角化性皮疹を認める16歳女性例を報告した.得られた3個の生検標本はいずれも同様の特徴的病理組織像を呈していた.すなわち著明に肥厚した角層と,表皮突起の中心収束性延長を伴うマルピギー層の肥厚よりなり,マルピギー層は角質塊に圧排され辺縁正常部より偏平に陥凹して存在する.病変細胞には好塩基性から好酸性の細胞質全体に一様に充満する細繊維様構造物を認め,本物質は上層に行くに従い染色性を増し,ろう様となり,小空胞様構造を認めるものもある.核内には好酸性の核小体類似物質が存在する.乳頭腫ウイルス抗原を検出し,本細胞質内物質をウイルス性疣贅に出現するいわゆる細胞体内封入体と考えたが,従来の報告に見る封入体疣贅の組織像,および臨床像とは大きく異なっている.更に,in situ hybridization法によりHPV-1,2,4は検出されなかった.本症例はウイルス性疣贅の新しい型の存在を示唆するものと考えられる.

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© 1989 日本皮膚科学会
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