C. albicansの皮膚への侵襲機構を明らかにするために,C. albicansの病原性に関わる因子として注目されているproteinase産生能,germ tube形成能と皮膚侵襲との関係について検討した.proteinase産生株NUM961,NUM961から得られたproteinase非産生突然変異株SP103,proteinase非産生株NUM584,NUM678,以上の4種類のgerm tubeを形成する株,及びproteinase産生株NUM683,proteinase非産生株NUM63の2種類のgerm tubeを形成しない株を新生仔マウスの皮膚へ接種し,侵襲の程度を組織学的に検討した.その結果,接種24時間後には,germ tubeを形成する株では,proteinase産生,非産生にかかわらずいずれもマウスの角層内に侵入したのに対し,germ tubeを形成しない株では,角層内への侵入が全くみられなかった.さらに,接種48時間後には,germ tube形成株のうちproteinase産生株NUM961では角層内での著明な増殖が認められたが,proteinase非産生株SP103,NUM584,NUM678では角層内での増殖がほとんどみられなかった.以上の結果より,C. albicansの角層への侵襲は角層への侵入過程と角層での増殖過程に分けられ,角層への侵入過程においてはproteinase産生能よりもむしろgerm tube形成能のほうが重要な因子があり,角層での増殖過程ではproteinase産生能が何らかの役割を果たしている可能性が示唆された.
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