日本皮膚科学会雑誌
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99 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 1989 年 99 巻 12 号 p. 1223-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
  • 鈴木 彰一, 安江 隆, 大橋 勝
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1227-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    C. albicansの皮膚への侵襲機構を明らかにするために,C. albicansの病原性に関わる因子として注目されているproteinase産生能,germ tube形成能と皮膚侵襲との関係について検討した.proteinase産生株NUM961,NUM961から得られたproteinase非産生突然変異株SP103,proteinase非産生株NUM584,NUM678,以上の4種類のgerm tubeを形成する株,及びproteinase産生株NUM683,proteinase非産生株NUM63の2種類のgerm tubeを形成しない株を新生仔マウスの皮膚へ接種し,侵襲の程度を組織学的に検討した.その結果,接種24時間後には,germ tubeを形成する株では,proteinase産生,非産生にかかわらずいずれもマウスの角層内に侵入したのに対し,germ tubeを形成しない株では,角層内への侵入が全くみられなかった.さらに,接種48時間後には,germ tube形成株のうちproteinase産生株NUM961では角層内での著明な増殖が認められたが,proteinase非産生株SP103,NUM584,NUM678では角層内での増殖がほとんどみられなかった.以上の結果より,C. albicansの角層への侵襲は角層への侵入過程と角層での増殖過程に分けられ,角層への侵入過程においてはproteinase産生能よりもむしろgerm tube形成能のほうが重要な因子があり,角層での増殖過程ではproteinase産生能が何らかの役割を果たしている可能性が示唆された.
  • 藤澤 重樹, 山本 裕子, 原 弘之, 荒記 ひろみ, 森嶋 隆文, 森岡 貞雄, 鎌田 英明, 権東 明, 徳田 安章
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1235-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    生後4ヵ月から78歳までの364例のアトピー性皮膚炎(以下AD)について血清IgE値とダニ,卵白,米のIgE(RAST)(以下RAST)値とその陽性率をHertoghe徴候,気道アレルギーの既往と皮膚乾燥の有無で検討し,それらの相関性のあることを確認し,ついで年齢を横軸にとる血清IgE値の散布図と血清IgE値,ダニ,卵白,牛乳,大豆,米,小麦のRAST値の5次の多項式モデルを作成し,同一グラフ上で各因子の年齢による変化の相関性を比較検討,解析した.年齢により高いRAST値を示す抗原が変わり,乳児期は卵白,牛乳であるが,1歳からダニに入れ替わり,15歳以降ダニは低下して,米,小麦が高くなる.血清IgE値と各抗原のRAST値の回帰曲線の関係からADの血清IgE値が高くなるのはダニ特異IgE抗体産生によるところ大であるが,加齢とともに変化する各抗原の特異IgE抗体の影響も受けていると考えられた.また卵白,牛乳がADのinitiatorで,ダニがpromoter,米,小麦が成人型ADのacceleratorと考えられ,AD患者においては環境抗原の整備と各年代に適した食事療法が必要であることが確認された.
  • 禾 紀子
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1243-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    湿疹,皮膚炎,口内炎,扁平苔癬,掌蹠膿疱症などの疾患の中には,時に歯科金属アレルギーがその病因をなす場合がある.このため,難治性のこれらの疾患患者で,金属貼付試験陽性でかつ口腔内に歯科金属を有する158名,及び19名の健康人volunteerについて,口腔内における歯科金属の電気化学的溶出を検討するために口腔内の電圧・電流測定を行なった.その結果,以下の如き知見を得た.(1)口腔内に各種合金プレートを置いた時,粘膜とこれらの間の起電力は,金属によりそれぞれ一定の傾向があるが,患者と健常人の間で大きな差異は認めなかった.(2)その電位は食物等種々の要因により変化した.(3)口腔内に装着された合金では,合金プレートでの結果とは異なり,同様組成の合金でも人によって正極となったり負極となったりし,電位も個人差が多かった.(4)しかし,一般にアマルガム及び銀系合金インレーでは,粘膜に対する電位は大きく,しかも負極となるため溶出傾向は高いと思われた.(5)粘膜対金属間では,金属間同志を上まわる起電力が生じ,負極の金属の溶出を起こしうる.(6)口腔内電流測定法は,2電極法で簡便に実施でき,アレルゲンの電気的溶出傾向が推測できうると考えられた.
  • 前田 学, 鹿野 由紀子, 森 俊二
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1255-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    全身性強皮症(以下SDと略)の本態解明に役立てるために,レイノー現象を伴うSD患者37例と振動病患者21例のレイノー現象を比較検討した.レイノー現象は,①低音刺激(寒冷),②温熱刺激,③精神的ストレスおよび④振動負荷により,誘発され,SD患者では,各々37例(100%),22例(59.5%),7例(18.9%)および3例(8.1%)に,一方,振動病患者では①は21例(100%),④は1例(4.8%)に認められた.ただし,②と③はみられなかった.両者のレイノー現象は,出現部位,持続時間,出現時期,色調変化などにおいて異なった.以上より,両者間には外的刺激に対する血管の反応性に差異のあることが示唆された.
  • 深谷 元継, 飯田 真由美, 岩瀬 悦子, 松田 俊樹, 安積 輝夫
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1261-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    SLEに併発した間質性肺炎(ループス肺炎)で,パルス療法施行中も呼吸困難が増悪進行していた一症例に対し,二重濾過血漿交換を施行したところ著明な改善をみた.従来パルス療法に抵抗性で不幸な転機をとっていた症例の一部には,血漿交換を行なうことによって改善が得られるものがあるのではないかと考えられた.
  • 江川 清文, 稲葉 葉一, 大石 空, 荒尾 龍喜
    1989 年 99 巻 12 号 p. 1265-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    足底に多発する白色調点状角化性皮疹を認める16歳女性例を報告した.得られた3個の生検標本はいずれも同様の特徴的病理組織像を呈していた.すなわち著明に肥厚した角層と,表皮突起の中心収束性延長を伴うマルピギー層の肥厚よりなり,マルピギー層は角質塊に圧排され辺縁正常部より偏平に陥凹して存在する.病変細胞には好塩基性から好酸性の細胞質全体に一様に充満する細繊維様構造物を認め,本物質は上層に行くに従い染色性を増し,ろう様となり,小空胞様構造を認めるものもある.核内には好酸性の核小体類似物質が存在する.乳頭腫ウイルス抗原を検出し,本細胞質内物質をウイルス性疣贅に出現するいわゆる細胞体内封入体と考えたが,従来の報告に見る封入体疣贅の組織像,および臨床像とは大きく異なっている.更に,in situ hybridization法によりHPV-1,2,4は検出されなかった.本症例はウイルス性疣贅の新しい型の存在を示唆するものと考えられる.
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