1989 年 99 巻 4 号 p. 469-
有機溶媒との接触の既往のない67歳女性に,Raynaud現象,強指症,指の屈曲性拘縮,全身の色素沈着,肺線維症,体幹に多発するmorphea様皮疹を認め,generalized morphea-like PSSと診断した.抗セントロメア抗体が陽性であったが,CREST症候群の所見はみられなかった.一方,四肢に蚊刺後,発赤腫脹を伴い丘疹・水疱・血疱が再発性に生じ,組織学的にもeosinophilic cellulitisの所見を呈し,末梢血好酸球増多も伴った.喘息の既往と血清IgE高値もあり,蚊刺を誘因とした過敏反応によるものと思われ,約6ヵ月で消退した.MorpheaあるいはPSSとeosinophilic cellulitisの併発例の記載はこれまで見出せなかったが,後者は経過中にmorphea様皮疹を呈することがしばしばあり,自験例は両疾患の近縁性,病因の共通性を示唆する症例と思われた.