日本皮膚科学会雑誌
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99 巻, 4 号
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  • 1989 年 99 巻 4 号 p. 431-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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  • 小川 みのり, 平川 朋子, 斎田 洋子, 藤澤 龍一, 伊藤 正吾, 杉崎 徹三
    1989 年 99 巻 4 号 p. 435-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    SLE,DLEの皮疹部および無疹部について,蛍光抗体法を用い,補体のC5,C7,C9とS-protein(SP)の局在を検討した.SLEとDLEの皮疹部のdermalepidermal junction(DEj)にC5,C7,C9,SPは陽性を示し,SLEの無疹部ではDEjに各種免疫グロブリンの沈着を認めたが,C5,C7,C9,SPは陰性であった.DLE無疹部ではC5,C7,C9,SPは陰性であった.光学顕微鏡上,液状変性の著しい症例にC5,C7,C9,SPの強い沈着を認めた.以上よりLE皮膚局所において補体の活性化が生じた結果,補体のlate components,およびmembrane attack complex(MAC)が形成されることが,LEのある種の皮診発症の引き金になることを推測した.更にMACの抑制因子であるSPがMACによる皮診惹起に抑制的に働いていない可能性も考えられた.
  • 相川 洋介, 吉池 高志
    1989 年 99 巻 4 号 p. 443-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    ジベルばら色粃糠疹患者末梢T cell subsetにおけるHLA-DR抗原発現パターンを,2重染色とFACSを用いて解析した.対照として,ウイルス感染症である帯状疱疹,ジベルばら色粃糠疹同様,炎症性角化症である乾癬,および健常人を選び,比較検討した.ジベルばら色粃糠疹患者では帯状疱疹患者同様,Leu4陽性細胞(T cell)におけるHLA-DR抗原の異常発現がみとめられた.このT cellにおけるHLA-DR異常発現をさらに詳細にT cell subsetで検討すると,ジベルばら色粃糠疹ではleu 3a陽性細胞(helper/inducer T cell),帯状疱疹ではLeu 2a陽性細胞(suppressor/cytotoxic T cell)においてとくにHLA-DR抗原の発現が顕著であった.乾癬におけるT cellあるいはT cell subsetのHLA-DR抗原の発現は,健常人との間に有意な差をみとめなかった.一方,活性化T cellの指標であるTacは,ジベルばら色粃糠疹,帯状疱疹患者において上昇をみとめなかった.また,ジベルばら色粃糠疹,帯状疱疹におけるT cellのHLA-DR抗原発現を経時的にみると,それらは病状の回復に対応して正常化した.
  • 吉永 花子
    1989 年 99 巻 4 号 p. 449-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    奈良県出身の43歳の主婦で全身に多彩な皮膚病変を生じ,骨髄に著明な腫瘍細胞の浸潤を認めたCD8+リンパ腫について,皮膚症状と臨床経過および腫瘍細胞の表面マーカーと電顕酵素抗体法による細胞形態学的検索を行った.皮膚腫瘍細胞はCD8+ suppressor phenotypeを示し,切れ込みの少ない核を有する中型の細胞の細胞表面にCD8抗原が高電子密度の顆粒状物質の沈着として認められた.
  • 吉田 正己, 本藤 良
    1989 年 99 巻 4 号 p. 457-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    77歳,男性に生じた汎発疹を伴う複発性帯状疱疹の1例を報告した.2ヵ所の帯状疱疹病変部と汎発疹から計3株の水痘・帯状疱疹ウイルスが分離された.この3株間の異同をウイルスDNAの制限酵素切断像の解析により検討したところ,3株は同一株であることが示された.この結果は,自験例においては複数の脊髄神経節に同一ウイルス株が潜伏感染していたことを示唆している.自験例は,胃癌の手術が誘因となって,相離れた神経節内の同一ウイルス株が同時に再活性化して2ヵ所に帯状疱疹の病変を生じ,さらに帯状疱疹病変部で増殖したウイルスにより汎発疹を生じたと推察された.
  • 池田 美智子, 前口 瑞恵, 菊池 りか, 川島 真, 肥田野 信, 安藤 智博
    1989 年 99 巻 4 号 p. 463-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    舌に生じた口腔内白板症2例において,抗パピローマウイルス抗体を用いた免疫組織化学的検討および電顕学的検討を行なった.その結果,2例ともその有棘層の中~上層においてパピローマウイルス抗原の存在が認められ,また電顕学的にも細胞核内に直径約30~40nmの電子密度の高い粒子が集簇した像が観察され,成熟したウイルス粒子とは異なるものの,未熟なウイルス粒子の可能性も含め,パピローマウイルスに関連した構造物と考えた.本邦での報告は自験2例が最初と思われるが,欧米からも同様の報告が見られることから,口腔内白板症の一部においてはヒト乳頭腫ウイルスがその発生に関与している可能性が高いと思われる.
  • 佐々木 哲雄, 中嶋 弘, 亀田 洋
    1989 年 99 巻 4 号 p. 469-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    有機溶媒との接触の既往のない67歳女性に,Raynaud現象,強指症,指の屈曲性拘縮,全身の色素沈着,肺線維症,体幹に多発するmorphea様皮疹を認め,generalized morphea-like PSSと診断した.抗セントロメア抗体が陽性であったが,CREST症候群の所見はみられなかった.一方,四肢に蚊刺後,発赤腫脹を伴い丘疹・水疱・血疱が再発性に生じ,組織学的にもeosinophilic cellulitisの所見を呈し,末梢血好酸球増多も伴った.喘息の既往と血清IgE高値もあり,蚊刺を誘因とした過敏反応によるものと思われ,約6ヵ月で消退した.MorpheaあるいはPSSとeosinophilic cellulitisの併発例の記載はこれまで見出せなかったが,後者は経過中にmorphea様皮疹を呈することがしばしばあり,自験例は両疾患の近縁性,病因の共通性を示唆する症例と思われた.
  • 三島 豊, 中西 孝文, 藤田 隆
    1989 年 99 巻 4 号 p. 477-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    最近我々が経験した掌蹠悪性黒色腫16例およびその前癌症の4例を解析した.掌蹠黒色腫は欧米の報告と異りALM8例と結節型8例で半々であった.これら各病型の代表的症例をALM4例,結節型2例につきそれらの臨床的ならびに病理学的所見を対比記載するとともに各々のclinical behaviorを追求した.ALMの症例には全てA-,B-,C-phaseの3相構造を認めB-およびA-phase病巣はpagetoid melanomaのそれぞれ対応する病巣と多くの共通ないし類似の特徴を有することを見い出した.掌蹠の結節型黒色腫も体幹のそれと共通の所見を示し,極めて高い悪性度を示した.
  • 池 亨仁, 大塚 藤男, 石橋 康正
    1989 年 99 巻 4 号 p. 493-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
    ジャーナル 認証あり
    Clarkが提唱したradial growth phaseとvertical growth phaseに相当する腫瘍巣が同一組織標本内に認められたsuperficial spreading melanomaの3例について両phaseにおける腫瘍細胞核DNA量を測定した.4',6-diamidino-2-phenyl-indoleを用いてDNA染色をした後,顕微蛍光側光法により細胞核DNA量の測定を行い,DNA distribution histogramを抽出,分析した.Radial growth phaseでは1例にのみ少数のpolyploid細胞(2.1%)を認めたが明らかなaneuploid populationは出現しなかった.一方,vertical growth phaseではpolyploid細胞の出現頻度がradial growth phaseより高く(5.3~7.6%),さらに全症例にaneuploid populationの存在が確認できた.これらDNA ploidy abnormalityを反映すると考えられるDNA index値はradial growth phaseよりvertical growth phaseで高値を示し,vertical growth phaseにおけるaneuploidないしpolyploid細胞の増加を裏付ける所見であった.本研究は悪性黒色腫のvertical growth phaseにはradial growth phaseに存在しない,より高いDNA量を持つ悪性度の高いadnormal cell populationが出現するとの考えを細胞学的面から証明したものである.
  • 山田 裕道, 須賀 康, 高森 建二
    1989 年 99 巻 4 号 p. 499-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    Skin sulfhydryl oxidase(SSO)は,SH基を有するタンパク又はペプチド間のS-S結合形成を触媒する酵素で,epidermal transglutaminaseと共にkeratinization processにおいて重要な役割を演じていることが知られている.今回,ラット皮膚より精製したSSOの反応機構を,基質として低分子SH化合物であるdithiothreitol(DTT)を用いて詳細に検討した.酵素反応中に消費されるDTT量および酵素量はそれぞれ,Ellman試薬およびクラーク型酸素電極を用いて,又酵素反応の結果産生される過酸化水素はhorseradish peroxidaseを用い二波長分光光度計にて測定した.その結果,反応中に消費されるDTTとO2のモル比は1:1.052,DTT消費量とH2O2産生量のモル比は1:0.89であった.以上よりDTT,O2,H2O2のモル比は1:1:1であることが示され本酵素反応式はR(SH)2+O2→S-S-R+H2O2であると考えられた.
  • 今井 龍介, 三浦 淳子, 高森 建二
    1989 年 99 巻 4 号 p. 503-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    円形脱毛症alopecia areata(AA)末梢血中のnatural killer(NK)細胞サブセットの占有率の検索を行った.脱毛の拡大を認めず治癒傾向にある単発性円形脱毛症では,正常人コントロールとの間に有意差を認めなかったが,治癒傾向を認めない多発性円形脱毛症,全頭脱毛症,汎発性脱毛症では,single color analysisにより,NK活性の高いLeu 11+細胞の増加が,two color analysisでは,NK活性の最も高いLeu 7-Leu 11+細胞の有意な増加が認められた.Leu 7-Leu 11+細胞の増加は,多発性円形脱毛症,全頭脱毛症,汎発性脱毛症の病像形成にNK細胞が関与していることを強く示唆するものと思われた.
  • 神崎 寛子, 秋山 尚範, 金本 昭紀子, 阿部 能子, 山田 琢, 荒田 次郎, 梅村 茂夫, 池田 政身
    1989 年 99 巻 4 号 p. 507-
    発行日: 1989年
    公開日: 2014/08/11
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    我々は1987年1月より1988年10月の間に分離された204株の黄色ブドウ球菌のフシジン酸(FA)に対するMICを測定し,また高知医大で1987年9月から1988年9月に分離された123株の黄色ブ菌のFAに対するMICと比較した.1987年1月から1988年3月の分離菌では5/123(4.1%)に耐性菌(MIC≧12.5μg/ml)が認められたのみであったが,1988年4月より10月の分離菌では42/81(51.9%)の耐性菌が認められた.高度FA耐性株は全てメチシリン耐性菌であった.高知医大ではMIC1.56~3.13μg/mlの株が少数認められたのみであった.高知医大の結果で耐性株が認められていないことよりFA耐性菌の出現には現在のところ地域差があるものと思われた.FAは現在外用剤としてのみ使用されているが,耐性出現の早い薬剤として知られており,このような薬剤を外用剤として使用することは耐性菌を増加させる可能性を強く示唆した.
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