日本皮膚科学会雑誌
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神経皮膚黒色症の新しい臨床型―脊髄軟膜の良性色素細胞腫と広範囲の高度濃色型蒙古斑の合併例―
川原 繁高田 実広根 孝衞富田 勝郎浜岡 寛士
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1989 年 99 巻 5 号 p. 561-

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抄録

38歳,男性.生来背部皮膚の全体に青色斑が存在した.昭和62年1月,放射線学的に第3~5胸椎レベルの脊髄髄膜腫瘍が見出され,整形外科において腫瘍摘出術を受けた.腫瘍は淡黒色で,第3~5胸椎レベルで脊髄軟膜に密着し,第4―5胸椎間の椎間孔を通って縦隔内にはみ出していた.手術後皮膚科受診時,背部に約25×35cmの淡青色斑がみられた.左下背部に約4mm径の暗青色斑が2個みられた.組織学的に,背部の淡青色斑は蒙古斑,暗青色小斑は通常型青色母斑,脊髄髄膜腫瘍は脊髄軟膜に生じた良性色素細胞腫(benign melanocytoma)と診断された.この症例は,脊髄軟膜原発の良性色素細胞腫と背部皮膚における広範な高度濃色型蒙古斑が合併したもので,神経皮膚黒色症の散発型に属するものと考えられた.

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© 1989 日本皮膚科学会
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