2012 年 33 巻 p. 3-9
本研究の目的は運動による糖代謝能の改善に血中アディポネクチン濃度が関与するかを,メタボリックシンドロームと,その危険因子を有する者で調査することを目的とした. 対象者は運動群12名と食事群15名に無作為に割り当てられ,3ヶ月間の介入に参加した.運動群は乳酸閾値強度の運動を週当たり300分実施するよう指導された.食事群は理想体重(BMI 22の体重)×25(kcal)を1日の摂取エネルギー量とした減量プログラムを実施した. 介入前後の比較の結果,運動群は血中アディポネクチン濃度に差を認めず,また高分子アディポネクチンが有意に低下したのにもかかわらず,HbA1c(JDS)と経口糖負荷試験の血糖2時間値が低下した.また食事群でも両サイトカインに有意な変化を認めなかったがHOMA-IRは低下した. 本研究は身体運動や食事制限による糖代謝の初期の改善効果に血中アディポネクチン濃度が強く影響する因子でない可能性を示した.