2012 年 33 巻 p. 43-49
近年になり,義足スプリンターの多くがカーボンファイバー製の板バネ構造をもつ最先端の義足パーツを装着し競技に参加しているものの,こうした足部パーツを装着した義足ユーザーの身体特性評価はほとんど行われていない.本研究の目的は,義足スプリンターにおける“バネ”の左右脚差を定量評価し,トレーニング法の提案および最適な義足の選定・調整基準を確立することであった.陸上競技短距離種目を専門とする下腿切断者3名にエネルギー蓄積型疾走用足部を装着した競技用義足で, 2.2 Hz,2.6 Hz,3.0 Hzの連続跳躍運動を義足側および非切断側で行わせた.本研究では被験者の腰背部に加速度計を装着し,得られた加速度波形から質量−バネモデルに基づいてLeg stiffnessを算出した.その結果,健側肢と義足肢におけるLeg stiffnessの左右脚差は10%前後であり,左右脚差は跳躍ピッチが高まるにつれて小さくなることが観察された.しかしながら,左右差が大きくなる跳躍ピッチは被験者ごとに異なっていた.これらの結果から,1)本研究で対象とした義足スプリンターは,健常者と同等の左右脚差を有していること,および2)左右脚差を考慮した足部パーツの開発および身体トレーニングが必要であることが示唆された.