2013 年 34 巻 p. 40-47
加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の予防改善には筋力トレーニングが有効であることはよく知られている.本研究では,サルコペニアの予防改善のための筋力トレーニングの効果を事前に予測できる遺伝子多型を探索するために,日本人高齢者を対象とした筋力トレーニングの効果と筋肉量に関与する遺伝子多型の関連性を明らかにすることを目的とした. 被験者は骨格筋量が相対的に低い14名の日本人高齢者(平均年齢70歳)であった.6ヶ月間の筋力トレーニングによる介入プログラムを実施し,トレーニング前後の骨格筋量をDXA法により測定し,トレーニング効果の指標とした.筋力トレーニングによる骨格筋量の増減率と骨格筋量に関与するαアクチニン3遺伝子(ACTN3),アンジオテンシン変換酵素(ACE)およびインスリン様成長因子2(IGF-2)の遺伝子多型の関連性について検討した結果,筋力トレーニングの効果を事前に予測できる遺伝子多型が存在する可能性が考えられた.今後は,サンプル数を増やし詳細な検討が求められる.