ポリエステル製のスポーツウェアは,洗濯しても汗臭が消えることなく,汗臭の吸着が問題視されている.汗臭は,皮膚表面に存在する黄色ブドウ球菌のような細菌が汗を悪臭物質に分解することで発生する.また,発汗によって皮膚pHが弱酸性から中性・アルカリ性に変化すると黄色ブドウ球菌の増殖し,悪臭の発生のみならず皮膚にかゆみや湿疹などが発生して皮膚に悪影響を及ぼす.スポーツウェアには皮膚を弱酸性に保ち,黄色ブドウ球菌の活性を抑制し,悪臭発生を防ぐ機能が必要である.そこで,我々はポリエステル繊維にリンゴ酸及び酢酸の酸を導入した弱酸性ポリエステル繊維を調製し,消臭抗菌性および皮膚に与える影響を調べた.まず,ポリエステル繊維に導入する酸の種類が皮膚の与える影響を調べた結果,リンゴ酸を導入した弱酸性ポリエステルは肌に悪影響を与えないことがわかった.弱酸性ポリエステルウェアを被験者に着用してもらい,発汗後の皮膚pHの変化を調べた結果,発汗後も皮膚pHを弱酸性に保つことが可能であった.また,弱酸性ポリエステルは黄色ブドウ球菌に対する抗菌性に優れ,汗臭のモデル臭としたアンモニアに対して優れた消臭効果を示した.