デサントスポーツ科学
Online ISSN : 2758-4429
Print ISSN : 0285-5739
研究論文
実験と数値流体解析を統合したスポーツエアロダイナミクス解析システムの開発と展開研究
浅井 武洪 性賛
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2017 年 38 巻 p. 3-9

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抄録

アルペンスキー競技のダウンヒルでは,最高速度が120 km/hを超えることが少なくなく,空気抵抗が競技タイムに大きく影響を与えている.これまで,アルペンスキー競技の空気抵抗に関する研究では,実際のレーサーを対象に,実験風洞を用いて,滑走フォームと抗力の関係や,スーツを含むスキー用具のデザインが検討されてきた.しかし,レーサー回りの流速分布や渦構造は明らかではなかった.そこで本研究では,格子ボルツマン法を用いた数値流体解析により,クラウチング姿勢における流速(ダウンヒルレーサーの速度)と全抗力の関係を示した.さらに,数値流体解析によりダウンヒルレーサー周りの流れを可視化し,その渦構造を検討した.その結果,ダウンヒルレーサーモデルの全抗力は,流速15 m/s時が27.0 N,20 m/sが46.2 N,25 m/sが74.3 N,30 m/sが107.6 N,35 m/sが144.7 N,40 m/sが185.8 Nとなっていた.また,流れ場の可視化により,流速40 m/sにおけるダウンヒルレーサーモデルの大きな抗力の,主な発生部位は,頭部,上腕部,下腿部,大腿部(含む臀部)であると考えられた.本研究では,実験と数値流体解析を統合したスポーツエアロダイナミクス解析システムの開発を試み,アルペンスキーのダウンヒルレーサーの空力解析に適用した.実験精度の向上は勿論の事,数値流体解析の精度向上も大きな課題である.それと同時に,近年,急速に発展している,ビッグデータテクノロジーや人工知能(AI)テクノロジー等の最新テクノロジーとの連携,応用も今後の重要な課題の一つと考えられる.

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