デサントスポーツ科学
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Print ISSN : 0285-5739
研究論文
近位大動脈拍動緩衝機能に対する水中運動の効果
菅原 順
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2018 年 39 巻 p. 158-164

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抄録

本研究では,近位大動脈拍動緩衝機能に着目し,習慣的な水中運動の実施が動脈スティフネスおよび大動脈血圧に与える影響を明らかにすることを目的とした.まず,動脈スティフネスの適応における部位特性を検証するため,水中運動以外の有酸素性運動を習慣的に行っている中高年女性と同年代の海女(合計198名)とで,動脈スティフネスを比較した.その結果,海女の近位大動脈スティフネス指標が,同年代の運動習慣のない女性よりも有意に低値であることが明らかとなった.一方,腹部大動脈を主体とする動脈スティフネス指標に有意差は認められなかった.次いで,健常な中高齢者12名を対象に,有酸素性運動を主体とする3か月間の水中運動教室の前後で,動脈スティフネスおよび大動脈血圧を計測した.トレーニング後,中高齢者の近位大動脈スティフネス指標に有意な変化は認められなかったが,上腕および大動脈収縮期血圧とbaPWVに有意な低下が認められた.以上の結果は,低頻度かつ短期間の水中運動実施は,近位大動脈の機能的適応を生じえないものの,心血管系疾患の発症リスクである大動脈血圧や動脈スティフネスを改善できる可能性を示唆する.

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© 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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