2018 年 39 巻 p. 198-204
骨格筋組織は,生命活動に重要な役割を果たすことが知られており,骨格筋量低下は運動能力低下のみならず全身性の代謝調節に影響を与えうる.女性の代謝調節機能は,男性の約70%と少なく,これは骨格筋量に依存すると考えられるが,性別による骨格筋量変化の機構は完全には明らかになっていない.本研究では,性差規定される筋分化能の差異を解析することを目的とし,女性由来および男性由来iPS細胞にh MyoD1遺伝子を遺伝子導入し,既報の骨格筋細胞分化誘導法を行った.作製した女性由来および男性由来iPSCs-MyoD細胞においても,約9日で骨格筋細胞に発現するSkeletal Muscle Actinの発現を認め,骨格筋細胞への分化が検討可能であった.骨格筋細胞マーカーであるMyosin Heavy Chain を指標とし,分化誘導過程における変化を比較検討した.その結果,女性由来細胞と比較し,男性由来細胞は早い段階からMyosin Heavy Chain(MHC)発現を認め,経時的な増加を認め,骨格筋分化誘導能が高い傾向が示された.iPS株数およびiPS株種の追加や更なる詳細検討により,骨格筋機能維持・強化の一助となる知見が得られることを期待する.