先天性心疾患の診断,治療及び経過観察には心臓カテーテル検査が用いられる.国外のデータベースを用いた多施設共同研究では面積線量(kerma-area product; KAP)を体重(body weight; BW)で割った値を用いた放射線量の記録の検討がされている.しかし,本邦においては,KAPを考慮した記録方法はあまり普及していない.本研究は,本邦で過去に行われた心臓カテーテル検査時の放射線量を解析し,本邦における放射線量の標準的な記録方法を提案し,既存のデータベースにて活用可能とすることを目的とした.放射線量の記録として透視線量率(fluoroscopic dose rate; FDR)の使用を評価した.FDR/BWはKAP/BWと相関が高く,解析された年齢で安定した値を得ることが可能と示唆された.FDR/BWは,本邦と国外のデータを比較する上で信頼できる指標であり,本邦における放射線量の標準的な記録の方法として用いることを提案する.これは,非常に簡便な方法であり,データベースを用いた研究での施設間比較が可能となる.