デサントスポーツ科学
Online ISSN : 2758-4429
Print ISSN : 0285-5739
研究論文
下肢切断アスリートの夏季活動現場における 体温変化の実態調査と身体冷却の有効性
福原 幸樹島田 雅史山本 光希浅枝 諒三上 幸夫
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2018 年 39 巻 p. 20-27

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抄録

障がい者がスポーツを楽しむ機会が増えているが,熱中症事故の報告もある.脊髄損傷者の体温調節機構の理解が進む一方で,下肢切断者については不明な点が多い.本研究の目的は下肢切断アスリートの夏季活動現場における障がい者スポーツ中の体温変化を調査し,アイススラリーを用いた身体冷却の有効性を明らかにすることである.主な成果は障がい者スポーツ中の下肢切断アスリートの体温は約39℃まで上昇し,スポーツ後の脱水率が高い症例を観察した.また,身体冷却によって,体温上昇を抑える効果は示せなかったが,脱水率が軽減したため,高度脱水(熱疲労)の予防効果が期待される.本研究により,下肢切断アスリートにおける熱中症の危険性の理解と実践的な暑さ対策の一助になることが示唆された.

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© 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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