2023 年 44 巻 p. 36-45
本研究の目的は,磁気共鳴画像法(MRI)を用いて非侵襲的に活動肢の血流を画像化し,運動後の血流回復を測定することである.健常成人男性20名(21±1歳)を対象とし,動脈スピンラベリング(ASL)法により右前腕近位部の血流マップを作成した.被験者はMRIのガントリー内で最大強度のハンドグリップ運動を2分間実施した.運動後の20分間の回復期間を設けた.MRIでの撮像は運動前,収縮直後,運動20分後の計3回実施した.得られた画像を前腕全体,手関節屈筋群および伸筋群に分けてASLのシグナル強度を求め,2次元の血流マップに時間の要因を合わせた3次元(x, y-t)のデータを分析した.その結果,運動前の安静時と比較して前腕全体,手関節屈筋群および伸筋群の血流量は,2分間の最大強度のハンドグリップ運動直後にそれぞれ1.5±0.2倍, 2.6±1.0倍および2.0±0.6倍に増加した(それぞれp < 0.05).20分間の回復期により,屈筋群および伸筋群の血流量は安静時と同等の値まで回復した.尺骨の血流量は運動に伴う変化を認めなかった.運動前の安静時と比較して,橈骨の血流量はハンドグリップ運動直後に安静時と比べて低下し,20分後には逆に有意な増加を認めた(それぞれp < 0.05).以上のことから,最大強度のハンドグリップ運動後の前腕の血流回復には不均一性が存在し,骨血流の増加と筋血流の回復が示された.