本研究の目的は屋外暑熱環境下における運動中の高輻射熱暴露後,ファン付きジャケットによる身体冷却がリカバリー時の体温動態に及ぼす影響を検討することであった.健常男性9名が気温31-35℃,相対湿度48-65%,日射量950-1150 W/m2の環境下で直腸温が38.50℃に上昇するまで自転車運動を行い,その後室温28-31℃,相対湿度50-60%の環境下で身体冷却リカバリーを実施した.自転車運動のプロトコルは回転数60 rpmで体重1 kg当たり1.5 wattの負荷で5分,2.0 wattの負荷で15分を1セットとし,これを反復した.身体冷却リカバリーは冷水摂取 (10℃: CON) もしくは冷水摂取+ファン付きジャケット (FAN) をランダムな順で用い,直腸温が37.75℃に低下するまで実施した.リカバリー時の直腸温における1分毎の低下率は,FAN試行がCON試行よりも高い傾向にあった.外耳道温における低下率はFAN試行がCON試行よりも有意に高く,平均皮膚温では冷却開始20分間の低下率はFAN試行がCON試行よりも有意に高かった.冷水摂取に加えたファン付きジャケットによる身体冷却リカバリーは,運動中の高輻射熱によって上昇した外耳道温や平均皮膚温を低下させるのには有効であるが,直腸温の低下を導くのは難しいかもしれない.