レジスタンス運動に血流制限を併用すると,筋収縮に利用された高エネルギーリン酸が再合成されずに代謝産物が蓄積し,通常では定常状態となるような低強度負荷を用いても,時間経過と共に代謝ストレスが漸増する.ゆえに本研究では,血流制限下の運動では,代謝ストレスは負荷強度に関係なく,総負荷量に依存するという仮説を立てた.本研究では,負荷強度が異なり,総負荷量が同等となる低強度×多い繰り返し回数,高強度×少ない繰り返し回数の条件を用いた血流制限下低強度レジスタンス運動を施行し,骨格筋内代謝ストレスを比較検討した.その結果,各プロトコール終了時の筋内クレアチンリン酸とpHの低下は,統計的に差はなく,血流制限を併用しない高強度負荷を用いた運動と同等かそれ以上であった.血流制限を併用した運動では,負荷強度と繰り返し回数の積として計算される総負荷量が等しい場合,用いた強度にかかわらず同様なトレーニング効果をもたらす可能性が示された.