2024 年 45 巻 p. 182-190
目的:日常の体調管理に体重が用いられるが,アスリートの場合,骨格筋量と相関する体水分量が日常的に測定できることが望ましい.今回,産後の競技復帰を目指して妊娠中にトレーニングを継続したパラアスリートの妊娠中の体組成変化を記録した.方法:前腕にて簡便に測定できるように開発した体水分量計を用いて体水分量を日常的に測定して,1か月に1回外来受診時に測定した体組成値と比較を行った.結果:体水分量は妊娠20週まで増加を示し,その後,いったん低下して,妊娠28週から分娩前まで増加した.体水分量計での測定値は20週以降ほぼ一定の値を示し,上肢の体組成と同様の変化を示した.考察:妊娠前半は体脂肪量と細胞内水分量の増加が見られた.妊娠後半はトレーニングを継続して行ったことで体重はほぼ一定であった.体脂肪量は減少し,細胞外水分量の増加が主で,羊水の増加を含むと考えられ,体幹の水分量の増加であった.