デサントスポーツ科学
Online ISSN : 2758-4429
Print ISSN : 0285-5739
研究論文
骨格筋への電気刺激はどこまで運動の代替となるか? 応用可能性の検証
安藤 創一岡本 孝信橋本 佑斗
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2024 年 45 巻 p. 3-11

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抄録

近年,骨格筋への電気刺激 (EMS) が生体にもたらす効果が注目を集めており,運動の代替となることが期待されている.しかし,EMSが生体にもたらす効果についてはまだ十分に分かっていない.そこで本研究はEMSが骨格筋の肥大と筋機能,血管内皮機能,自律神経活動,認知機能にもたらす効果を検討することを目的とした.30名の実験参加者はEMSトレーニング群,抵抗性運動トレーニング群,コントロール群の3群に分けられた.トレーニング群は週に3回のトレーニングを8週間行った.そして,トレーニング前後で大腿四頭筋の筋横断面積,膝伸展トルク,血管内皮機能,自律神経活動,認知機能を評価した.EMSトレーニング群,抵抗性運動トレーニング群の両方で筋横断面積の増加がみられた.等尺性膝伸展トルクおよび血管内皮機能はEMSトレーニング群のみで向上がみられた.トレーニングにより自律神経活動と認知機能に変化はみられなかった.これらの結果は,骨格筋への電気刺激は筋肥大をもたらし,筋機能を向上させ,血管内皮機能を向上させる可能性があることを示唆している.

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© 2024 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
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