アスリートの関節における屈曲と伸展の状態をリアルタイムに可視化することは,パフォーマンスやスキルの向上において重要である.これだけでなく,怪我を負ったアスリートや身体が不自由になってしまった高齢者がリハビリを行うとき,関節の屈曲状態を色の変化で可視化できれば,怪我や病気の克服へのモチベーションに繋がるはずである. 本研究では,材料化学の観点から,バイオマスであるセルロースを原料にして,カラフルな反射色だけでなく,やわらかいゴム弾性も示す液晶材料 (以降,「セルロース液晶エラストマー」と呼ぶ) の分子デザインと合成を進め,サステナブルなひずみ可視化シートの創成を行った.たとえば,赤色の反射を呈するセルロース液晶エラストマー膜を透明なプラスチックスプーンで圧縮すると,押し付けた部分だけが赤色から黄緑色に変化した.一定の圧力が加え続けている間は黄緑色の反射を維持しているものの,力を取り除けばセルロース液晶エラストマーのゴム弾性により,速やかに元の赤色に回復した.この膜の変色において,圧縮の力と反射色の変化には相関があるため,セルロース液晶エラストマー膜が示す反射の変色を見れば,どの程度の力やひずみが加わっているか露見でき,多種多様なニーズに沿った新しいひずみ可視化シートへの応用が期待できる.