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研究ノート
東京湾の潮間帯における底生珪藻相
植松 幸希 青木 茂岡本 研日野 明徳
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2019 年 35 巻 p. 64-74

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抄録

東京湾の潮間帯における底生珪藻相を明らかにするため,2010年5月の干潮時に湾内15か所の干潟と海岸において底質を採取して調査を行った。調査地の塩分は10.6から30.5だった。最も中央粒径値の高かった地点では珪藻が観察されなかったが,他の地点では9~33種が観察され,全部で88種が出現した。各地点で細胞数が10%以上を占める優占種は,主にNavicula属とAmphora属だった。最も多くの地点で出現したのはNavicula gregariaで,次にHaslea feriarumFallacia cf. teneroidesだった。世界各地で報告される汎世界種が東京湾でも優占したことから,干潟の底生珪藻群集には,潮汐に伴う水温や塩分の急激な変化や乾燥といった干潟特有の環境要因が影響していると示唆された。

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© 2019 日本珪藻学会
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