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原著論文
大気低層における気生珪藻の特徴―八郎潟干拓地における2019年8月と2020年1月の観測例―
千葉 崇 西内 李佳辻 彰洋
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2020 年 36 巻 p. 23-34

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抄録

珪藻は風によって移動し,微粒子として大気中に存在することが報告されている。しかしながら,大気を浮遊している珪藻の量,種組成,起源,移動距離および浮遊に必要な気象条件は未解決のままである。したがって,まず,大気中に浮遊する珪藻の量を知る必要がある。表層大気中の微粒子として珪藻の特性を明らかにするため,日射量が最も高い月として2019年8月4日から27日までの期間,日射量が最も低い月として2020年1月8日から31日までの期間を選定し,微粒子を採取するための調査を秋田県で行った。その結果,大気中に浮遊する珪藻の量は僅かであり,浮遊微粒子の主成分ではないことが示された。また,日射量が少なく,降雨があり,風速が速い条件下において,大気中の珪藻の量は増加した。これらの気象条件下では,土壌珪藻の生体も観察された。さらに大気中から得られた珪藻の平均サイズは約32.2–41.5 µmであり,粒子の挙動を考慮すると土壌珪藻の多くは短距離のサスペンジョンを繰り返して移動している可能性がある。

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© 2020 日本珪藻学会
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