抄録
本稿ではデジタルゲームのうちコミュニケーション可能な癒し系シミュレーションゲームを利 用した、不登校児童、あるいはひきこもり青年に対する教育福祉的支援の施療事例、すなわち、対象 児童(青年)をデジタルゲームを媒介とした施療によってコミュニケーション不全から回復させ、対 峙する問題への対処・治療ができる段階まで促進させるアプローチの試みを提示した。適切な手法に 則って利用することで、一般的な娯楽目的で流通しているゲームソフトの中にも、教育福祉的支援に も有用である、社会性育成的要素を強く含んだ作品が存在する可能性があり、今後、教育福祉分野に おいてデジタルゲーム研究が促進されるべきであると本稿では考える。