抄録
2018年におけるeスポーツの世界市場規模は8.65億ドルとなったが、それと比して日本のeスポーツ市場規模は48.3 億円と低い。eスポーツ先進国と呼ばれる米国・欧州・韓国・中国に対して、日本はeスポーツ後進国と評されることが多い。本研究では、eスポーツ先進国と呼ばれる各国との比較を通して、日本のeスポーツ産業を俯瞰的に考察した。結論としては、日本におけるeスポーツ産業の発展の遅れは、主体(企業、業界団体、コミュニティ)の不在によって法律などの制度面での整備が遅々として進まなかったことが大きな原因である。また、Taylor (2018)が述べるeスポーツの産業発展における三つの波である「Game」、「Sport」、「Media Entertainment」のうち、日本には二つ目の「Sport」が来たところであると考えられる。