抄録
本論文ではゲームの歴史研究のアウトプットの粒度として1)資料(史料)、2)モノグラフ/ケーススタディ、3)時代史/部門史、の3段階があることを述べたうえで、歴史の多様性に関して、1)執筆者の持つ評価基準による多様性、2)議論の対象による多様性、3)国ごとの発展経路の多様性、の3つの視点から議論している。また、現在のゲームのプレイ環境(プラットフォーム)が世界各国で収斂していることから、今後のゲーム産業史はゲームジャンルの栄枯盛衰に関するジャンル史やゲーム消費文化論が重要になってくると主張する。最終的に、各国のゲーム産業史はアートワークの面では「東洋型」と「西洋型」の 2 タイプのいずれかの収斂し、消費文化の差異によるわずかな差のみになる可能性があるだろう。