2021 年 37 巻 1 号 p. 2-10
急性腹症は手術など何らかの治療介入を要することが稀ではなく,限られた時間内に適切な対応が求められる.しかしながら,急性腹症の原因疾患は多彩であり,診断は容易ではない.通常は病歴,身体所見,血液検査,画像検査などから総合的に診断され,治療方針が決定されるが,小児は適切な言葉で自分の症状を表現することが困難で,身体所見に次いで画像診断が重要となってくる.本来は放射線科医による適切な検査,撮影条件の決定を行い,質の高い診断が行われるべきであるが,本邦では諸外国に比し放射線科医が大幅に不足しており,24時間,365日対応が可能な施設は大学病院などのごく一部の施設に限定される.このような現状においては,担当する各診療科の医師が検査の選択から診断まで行わざるを得ない.そのためには各画像検査の利点・欠点を理解し,それぞれの検査によって治療方針に影響を与えるどのような情報が得られるかを考え選択する必要がある.