抄録
本研究は,日本のスマホゲーム市場において,ゲーム実況の視聴がユーザーのプレイおよび課金行動に与える影響メカニズムを実証的に解明した。473 名の調査データを用いた分析から,対人競争とMOBA ジャンルが支配的で社交性を重視する中国市場に対し,日本市場はRPG 選好が強く,プレイを伴わない動画勢(非プレイ視聴者)が存在するという差異が確認された。回帰分析の結果,視聴時間と課金行動には逆U 字型の関係が認められ,1 日約2.4 時間を分岐点として促進効果が減衰することが明らかになった。これは長時間視聴による代理満足や可処分時間の圧迫を示唆する。またパス解析では,視聴が直接課金を促すのではなく,プレイ時間の伸長を介して間接的に課金を促進する完全媒介モデルが支持された。結論として,日本市場における実況は,直接的な購買刺激よりも,ユーザーのアクティブ率を高め,プレイへ回帰させる触媒として機能する際に最大の経済効果を発揮する。