抄録
本研究は、中国都市におけるクレーンゲーム専門店の急速な定着過程を、制度的分類、運営戦略、文化的実践から捉え、その低リスク性がいかに構築されたのかを明らかにするものである。2000 年代以降、中国ではビデオゲームに対する規制が強化される一方、クレーンゲームは非電子的として制度的に問題視されにくい位置に置かれてきた。この制度的な語りの枠組みは、事業者による柔軟な運営戦略を促進し、確率制の回避や低価格景品、物販的要素の導入といった手法によって、法的リスクとの接触を回避している。加えて、近年のSNS 利用の拡大とともに、クレーンゲームは遊ぶよりも撮る・共有する体験へと変化し、視覚的演出との結びつきにより、イメージが拡散されている。こうした制度・運営・文化が相互に補完し合うことにより、クレーンゲームは規制されにくく、批判されにくく、拡散されやすい娯楽装置として構造化された。本研究は、制度と文化の接合領域に注目し、クレーンゲーム専門店の社会的正当化プロセスを多角的に検討したものである。