抄録
少子高齢化の進行とともに世代を超えたコミュニケーションの重要性は今後更に高まり, 伝承遊びはその手段として有効であると考えられる. その中でも, 福笑いはその場で一緒に遊ぶ人に加えて, 見ている人も自然と笑顔になることが特長であり, 言葉の壁も超えた万国共通で利用可能なコミュニケーション促進手段であると我々は考える. 更に, 笑顔は心身の活性化にも良い効果があると言われていることから, 健康への配慮も含めて, 世代間を超えたコミュニケーション手段として期待できると考えられる. しかし, 福笑いで遊ぶためには遊具一式を事前に準備する必要があるとともに, 床や机等プレイする環境の準備も必要となる. そこで,本研究では福笑いをデジタルゲーム化することにより, 様々な場所で事前に特別な遊具等を準備することなく, 容易に福笑いを遊ぶことができる“笑う門には福笑い FUKUWARAI” を試作した. デジタル化することにより, 従来の福笑いとは違う遊び方もすることが可能となるとともに, 将来的には, 高齢者の方等に対して笑いを自然に導くリハビリテーションを支援する装置への利用を考えている. 本稿では試作システム“笑う門には福笑い- FUKUWARAI”の概要及び初期評価実験結果について報告する。