抄録
近年、特殊詐欺の手口は巧妙化し、特に「ニセ警官詐欺」ほか「SNS 型投資詐欺」「SNS 型ロマンス詐欺」などの被害額が急増している。従来の啓発活動や、著者らが開発した詐欺脆弱性診断アプリのみでは、詐欺犯と接触した際の具体的な防衛行動へ直結しにくいという課題があった。そこでユーザーが安全な環境下で詐欺の手口を「予防接種」的に疑似体験できるシリアスゲームの開発を進めている。本システムでは、詐欺犯役(悪役NPC)にLLM を使用し、プライバシー保護のためローカルで実行するが、LLM の安全性ガードレールで「詐欺行為の模倣」として演技が拒否されることがある。本研究では、拒否を回避し自然な詐欺犯NPC の演技を生成する手法として、「文脈の再定義」と「思考の連鎖による心理戦術」を提案する。主要なローカルLLM 等15 種類×3 種のプロンプト(指示のみ/背景説明/背景説明+CoT)で各20 回の評価実験を実施した。最新のLLM では背景説明とCoT により拒否率が低下し、軽量モデルで自然で実用的な発話を確認した。本稿では検証結果とエッジAI 環境における体験型防犯ゲームについて議論する。