道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
卵巣腫瘍との鑑別診断が困難であったⅠ型糖尿病による神経因性の巨大膀胱の1例
佐藤 賢一郎福島 安義
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2018 年 1 巻 1 号 p. 60-62

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抄録

卵巣腫瘍との鑑別が問題となった神経因性の巨大膀胱例を経験した。症例は35歳、性交未経験で、コントロール不良のⅠ型糖尿病患者であった。臍高に及ぶ嚢胞性腫瘤を認め、腫瘍マーカでCA19-9 89.8 U/mL(基準値≦37)、CEA 10.4ng/mL(基準値≦ 5.0) が高値を示していた。手術を予定していたところ、術前の導尿で1700mlの排尿を認め、超音波検査を行ったところ腫瘤は消失していた。本例は、卵巣腫瘍と考えさせられる複数の所見が存在し鑑別の困難な症例であった。通常は、膀胱と卵巣腫瘍の区別は容易であるが、まれに鑑別診断が問題になるケースがあるので、卵巣腫瘍の診断の際には拡張した膀胱の可能性も常に念頭に置くべきであると思われた。

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