抄録
今回、呼吸困難を主訴に救急搬送されたところ、子宮筋腫、子宮腺筋症による過多・過長月経に起因すると思われる血色素1.3g/dLの高度貧血を認めた1例を経験した。このような高度貧血例では、心不全や腎機能障害、肝機能障害などの併存疾患を有していることも多く、治療にあたっては他科との連携が必要である。子宮筋腫、子宮腺筋症による過多・過長月経は主要症状の一つであり、ほとんどの場合は外来での貧血治療により管理が可能である。しかし、稀ではあるが本例のように生命に関わる可能性もあり得るため、筋腫分娩、粘膜下筋腫、1,000gを超えると推定される大型の子宮筋腫、子宮腺筋症の場合には、高度貧血についても注意が必要で、患者への説明と定期的な経過観察が重要であると思われた。