道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
認知症を合併したリウマチ性多発筋痛症の1例
久保 公利松田 宗一郎間部 克裕加藤 元嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 2 巻 1 号 p. 39-43

詳細
抄録
【症例】80歳,男性【主訴】脱力感、歩行困難【現病歴】2017年9月末より大腿部の痛みを認め、近医整形外科に入院したが譫妄のため数日で退院となった。10月に近医精神科を受診し、アルツハイマー型認知症と診断された。その後脱力感が出現し歩行困難となったため、10月31日に当院入院となった。【既往歴】洞不全症候群(2007年)、腰部脊柱管狭窄症(2014年)、アルツハイマー型認知症(2017年)【経過】発熱と炎症反応の高値を認め、感染症を疑い抗生剤治療を行ったが解熱せず投与を中止した。抗核抗体、リウマチ因子、抗CCP抗体は陰性だった。Gaシンチグラフィで両側肩関節と右膝関節に集積が認められた。リウマチ性多発筋痛症を疑い,第24病日よりPSL20mgの投与を開始したところ翌日には解熱した。また入院時より幻覚、見当識障害、記銘力障害が認められたため、精神科を受診し内服加療が開始された。その後PSLを漸減し第94病日に退院となった。【結語】症状出現時から診断まで2ヶ月を要したリウマチ性多発筋痛症の1例を経験した。アルツハイマー型認知症を有する症例のため、自覚症状を正確に表現することが困難であり、診断に苦慮したが貴重な症例と考え報告する。
著者関連情報
© 2019 道南医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top