抄録
[目的]当院は2013年4月に病棟薬剤業務を開始して現時点で5年となる。2018年現在、病棟薬剤師はICU、包括ケア病棟を除くすべての一般病棟に配置され、専任制で行っている。現時点での病棟薬剤業務の問題点を把握し、課題を明らかにする目的で医師、看護師を対象に調査を行ったので結果を報告する。
[方法]当院A病棟の医師と看護師に病棟薬剤業務内容の満足度をアンケート調査した。アンケートの質問内容は、日本病院薬剤師会が発行している「薬剤師の病棟業務の進め方」を基に持参薬鑑別、患者状況の把握と処方提案、他職種との連携等に関する質問を12問設定した。また、設問には4段階評点で回答してもらい、無記名方式とした。
[結果]入院時持参薬鑑別については、医師からの回答が「ややわかりやすい」であったのに対し、看護師からの回答は「わかりにくい、ややわかりにくい」が半数であった。多職種との連携についてでは、薬剤師が回診等に介入することで薬物療法の適正使用につながるかという問いに対し、医師、看護師ともにほとんどが「そう思う、ややそう思う」だった。さらに病棟薬剤師の専任制は有用かという問いに対しても、医師、看護師ともにほとんどが「そう思う、ややそう思う」との回答だった。
[考察]今回のアンケート調査では、医師、看護師は病棟薬剤師の専任制や相談体制についてほぼ満足しており、適切な薬物療法のために薬剤師がより積極的に関わることを求められていることがわかった。一方で、持参薬鑑別や、手術前休薬期間等については、医師と看護師で回答が分かれた。医師と看護師で必要とする情報が異なるため、このような差が生まれたと考えられる。今後は業種にあわせた情報提供を行っていく必要があると考える。