道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
術後膵液瘻に対してEUS-TDを施行した2例
久保 公利渡辺 亮介東野 真幸津田 桃子加藤 元嗣
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2022 年 5 巻 1 号 p. 16-20

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抄録

【背景】近年、術後膵液瘻に対する超音波内視鏡下経消化管ドレナージ術(EUS-TD)の有用性が報告されている。 【症例1】60歳、女性【主訴】発熱【現病歴】膵神経内分泌腫瘍の診断で膵尾部切除術を施行した。術後第13病日に退院したが発熱のため第18病日に再入院した。【経過】血液検査で炎症反応の上昇(WBC 12.5×10^9/L、CRP 22.4mg/dL)を認め、CT で膵剥離面と胃の間に71×42mm の液体貯留を認めた。術後膵液瘻と診断し、EUS ガイド下に胃から穿刺し外瘻チューブ(ENBD 6Fr Pig tail)を留置した。液体貯留の改善を認め、1週間後に内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)に交換した。3ヶ月後に内瘻チューブを抜去し、以降再燃なく経過観察中である。 【症例2】77歳、男性【主訴】腹部膨満感【現病歴】大学病院にて腎癌膵転移の診断で膵尾部切除術を施行された。退院後は当科に通院し術後膵液瘻の経過観察を行っていた。術後5ヶ月目に腹部膨満感を主訴に外来を受診し、CT で膵液瘻の増大を認めたために入院した。【経過】血液検査で炎症反応の上昇(WBC 6.5×10^9/L、CRP 7.8mg/dL)を認め、CT で膵剥離面と胃の間に79×68mm の液体貯留を認めた。EUS ガイド下に胃から穿刺し外瘻チューブ(ENBD 6Fr Pig tail)を留置した。液体貯留の改善を認め、10日後に内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)に交換したが、翌日に瘻孔周囲炎を発症しチューブを抜去した。液体貯留の再増悪を認め、22日後に再穿刺し内瘻チューブ(7Fr 両端Pig tail)を留置した。以降再燃なく経過観察中である。 【結語】術後膵液瘻に対してEUS-TDを施行した2例を経験したので報告する。

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