道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
消毒容器への塩素濃度表示が比色法による塩素濃度判定に及ぼす影響
菅井 陽介盛川 佳那子千葉 沙奈山中 麻美松崎 幸司小林 泉杉本 佳代高田 徹
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2024 年 7 巻 1 号 p. 19-22

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抄録
Ⅰ.背景・目的 次亜塩素酸ナトリウムは医療器材や環境の消毒に汎用されているが、光や有機物により分解されやすく、また、適宜希釈する必要があることから調製ミスも起こりやすい。そのため、消毒前に塩素濃度を測定することが望ましく、当院では比色法による塩素濃度測定を実施している。しかし、調製ミス対策として消毒容器に調製濃度を表示しているため、濃度表示が主観的な測定方法である比色法の判定に影響を及ぼしていることが懸念された。そこで今回、調製濃度の表示の有無が比色法の判定結果に影響を及ぼすか検証した。 Ⅱ.方法 塩素濃度を50ppmに調製した次亜塩素酸ナトリウム液を検液とした。測定はまず、消毒容器に塩素濃度を表示せずに実施し、1週間後、消毒容器に塩素濃度を表示して測定を行った。測定は男女15人ずつ1人あたり3回ずつ行い、中央値を測定値とし、測定値が40~50ppmの範囲を正答とした。判定の変化には、Wilcoxon符号付順位和検定を、正判定率の変化にはMcNemar検定を使用して解析した。なお、p<0.05を有意差ありと判定した。 Ⅲ.結果 消毒容器に塩素濃度を表示しない状態で測定した結果、<40ppmが3人、40~50ppmが24人、>50ppmが3人で、表示後は、それぞれ1人、13人、16人となった。塩素濃度の表示の有無で測定結果は有意に変化し(p<0.01)、正判定率も表示前は80%(24/30)であったが、表示後は43.3%(13/30)と有意に低下した(p<0.01)。
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