抄録
【背景】近年、切除不能肝細胞癌に対する薬物療法の進歩は著しい。その中心となるのが複合免疫療法であるが、βカテニン変異を有する肝癌やNASH肝癌に対する効果は議論の対象となっている。EOB-MRI肝細胞相で高信号を呈する結節にはβカテニン変異率が高いことが知られており、今回、EOB-MRI肝細胞相高信号肝癌に対する、複合免疫療法であるアテゾリズマブ/ベバシズマブ(ATZ/BV)と、分子標的療法であるレンバチニブ(LEN)の治療効果を検討したので報告する。
【方法】対象は、治療前にEOB-MRIを施行していたATZ/BV15例、LEN32例で、EOB-MRI(造影前/肝細胞相)の腫瘍/非腫瘍部信号強度からrelative enhancement ratio(RER)を算出し、0.9以上のβカテニン変異を有する確率の高いH群と、0.9未満のL群に分類し、PFS、ORR、DCRを検討した。
【結果】ATZ/BV症例のRERは0.47~1.49でH群5例、L群10例に分類された。H群/L群の年齢72/72歳、男性100/70%、HBV/HCV/NBNCは各々1/2/2、5/0/5、Child Pugh-A5/A6/Bは4/1/0、5/5/0例、BCLC-B/Cは4/1、4/6と有意な差はなかった。H群/L群の治療効果は、ORR;0/20%、DCR;80/90%、PFS中央値;265/NE日(p=0.27)だった。LEN症例のRERは0.49~1.49でH群10例、L群22例に分類された。H群/L群の年齢75/77歳、男性100/73%、HBV/HCV/NBNCは各々3/2/5、3/10/9、Child Pugh-A5/A6/Bは4/5/1、12/6/4、BCLC-B/Cは6/4、9/13例と差はなかった。H群/L群の成績は、ORR;56/32%、DCR;89/77%、PFS中央値;224/167日(p=0.40)だった。
【結論】EOB-MRI肝細胞相高信号肝癌の治療効果は、ATZ/BVで多少低下、LENで差が目立たない結果であったが、更なる多数例での検討が必要である。