2025 年 8 巻 1 号 p. 75-76
【目的】腰椎分離症は若年層で好発する。MRI検査では腰椎分離症の骨髄浮腫を反映した信号変化が見られるが、骨折部の離開や骨癒合の程度を観察するのには、CT検査がよく用いられる。しかし、若年層の継続したCT検査には被ばくが懸念され可能な限り回避することが望ましい。MRI検査にて、骨を描出する新規追加アプリケーションを利用せず、既存のシーケンスの撮像条件を最適化し、本来MRI画像では無信号となる骨皮質を描出することで、被ばくを回避できる症例があるのではないかと考え検討した。【方法】3D FastSPGRをベースとする3D-LAVA法を用い、MRIの利点である組織コントラストが低下するように条件を設定した。また、MPRの作成も可能となるよう等方性ボクセルとし、白黒反転を行うことで骨皮質が観察できるCT画像に類似したMRI骨イメージング画像を1.5T装置と3T装置にて撮像し比較した。【結果】1.5T・3T装置ともに骨イメージングは可能ではあるが1.5T装置ではSNRに限度があり分解能は3T装置が優位であった。【結語】腰椎分離症を疑う症例に対し通常のMRI検査から骨髄浮腫の信号変化を拾い上げるとともに、骨イメージングを行うことでCT検査を回避し被ばくの低減が期待できる。
第77回道南医学会大会道南医学会ジャーナル推薦演題
整形外科領域の画像診断において、MRI検査は重要な役割を果たしている。若年層に好発する腰椎分離症の骨癒合や離開にはCT検査がよく用いられており、元々骨皮質が描出されないMRI検査では苦手な分野でもあった。しかし近年、MRI検査において骨をCTのように疑似的に描出するアプリケーション等が登場し注目を集めている。それを用いず、既存のアプリケーションの撮像条件の調整で骨を描出することで、度重なるCT検査を減らし被ばくを少なくすることが期待できる。
MRI検査では腰椎分離症の骨髄浮腫を反映した信号変化がみられるが、骨折部の離開や骨癒合の程度を観察するには適さず、それにはCT検査がよく用いられてきた。しかし、腰椎分離症は若年層に好発するため、成人より放射線感受性が高いといわれる若年層には、被ばくを伴う検査を慎重に行わなければならない。
近年、MRI検査において骨を描出する新規アプリケーションが登場している。それを使用せず既存のシーケンスの撮像条件を調整・工夫することで、骨を疑似的に描出しMRIによるフォローアップをすることで被ばくが回避できる症例があるのではないかと考えた。
3D-FSPGRをベースとする3D-LAVA法を用い、骨以外の組織コントラストを低下させるとともに、骨とその他の組織コントラストが高くなるようにFlip Angleを設定。面分解能を等方性とし、信号の収集間隔をpixel sizeと同等にすることで、MPR(Multi Planar Reconstruction 多断面再構成)の作成もある程度可能となるようなvoxel sizeに撮像条件(表1)を設定した。収集された画像を白黒反転することでCT画像のように骨が白くなるよう表示設定を行った。それらの画像を臨床医とともに検討した。
1.5T SIGNA Explorer (GE healthcare)
3.0T SIGNA Architect (GE healthcare)
図1にCT画像と1.5T装置、図2にCT画像と3.0T装置の画像を示す。
1.5T装置・3.0T装置ともに疑似的に骨を描出することは可能であるが、1.5T装置ではSNR(Signal to Noise Ratio 信号雑音比)に限界があり、3.0T装置の方が鮮明な画像が撮像することができる。MRI検査を行うことで骨髄浮腫による信号変化を拾いあげるとともに、腰椎分離症の離開や癒合を描出し、度重なる被ばくを回避することが示唆された。
MRI検査による骨イメージングはCT検査に比べると画質が劣る。Canon製1.5T装置3D-FE M-Echo法を用いた画像では離開の状態により、CT画像との画像評価の一致率が異なるとの報告1) もある。また、Siemens製3.0T装置3D-VIBE法を用いた画像では完全骨折では100%の精度を示し、不完全骨折においても感度・特異度、精度においても90%以上との報告2) もある。このように、静磁場強度やアプリケーションによる画質の差異もある。そのため、全ての症例に対して置き換わる手法ではない。しかしながら、症例を重ねていくことでMRI検査による骨イメージングに有用な症例を振り分けCT検査を減らすことによる被ばくの低減の可能性が見えてきたのではないかと考えられた。
本論文内容に関連する著者の利益相反なし
表1.(撮像条件)

図1.(左CT画像 右1.5T MRI画像)

図2.(左CT画像 右3.0T MRI画像)
