Dental Materials Journal
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デンチンボンディング材とPhenyl-Pを含有するセルフエッチングデンチンプライマーの併用効果について
谷 千尋伊藤 和雄久光 久和久本 貞雄
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1993 年 12 巻 2 号 p. 219-224,276

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抄録
20% Phenyl-Pを含む35% HEMA水溶液または,35% GM水溶液からなるセルフエッチングデンチンプライマーを試作し,これらを3種類の市販ボンディング材または,1種類の介在レジンと組み合わせた場合の接着性能を,ヒト抜去歯に形成された象牙質円柱窩洞内での市販可視光線重合型コンポジットレジンのコントラクションギャップの計測により評価した.その結果,今回用いた材料の組み合わせでは,試作プライマーで前処理した窩洞にMDPを含む市販Dual cure型ボンディング材を併用してコンポジットレジンを填塞した場合にのみ完全な象牙質窩壁適合性が観察された.また,機能性モノマーを含まない介在レジンを併用した場合にも,Phenyl-Pを含有するプライマーの前処理により,コントラクションギャップの幅は有意に減少した.すなわち,Pheny-Pを含有するHEMAまたはGM水溶液をプライマーとして用いる場合には,それに続くデンチンボンディング材を選択する必要があり,さらにプライマー中に含まれるPhenyl-Pは,単にスメアー層処理のみならず,接着性の改善にも有効である可能性が示唆された.
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© 日本歯科理工学会
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