抄録
本研究の目的は,in vivoにおける試験により,ハイブリッド型コンポジットレジンの耐磨耗性に及ぼすマイクロフィラーの影響を評価することである.2種類のフィラーシステムを用いた試作光重合型レジン,すなわち,有機複合フィラーを添加したハイブリッドタイプ1と,コロイダルシリカを添加したハイブリッドタイプ2,が試作された.なお,試作レジンには,Bis-GMA (50wt%)とTEGDMA (50wt%)からなるレジンモノマーが用いられた.Au-Pd合金製クラウンの咬合接触部(OCA)と非接触部(CFA)に設けた直径2mmの円筒形窩洞に試作レジンを充填し,ボランティアの口腔内にクラウンを仮着した.クラウンは1月毎に撤去され,SEMによる連続的観察が行われた.有機複合フィラーを添加したハイブリッドタイプ1はOCAにおいて破壊像を示した.一方,ハイブリッドタイプ2は,高い耐磨耗性を示し,これはマイクロフィラーによりレジンマトリックスが強化されたためと思われる.