1993 年 12 巻 2 号 p. 253-258,277
紫外線重合型コーティング剤による処理が,義歯用アクリルレジンから溶出するメチルメタクリレートとホルムアルデヒドの溶出低下におよぼす効果を,定量的に評価した.常温重合型レジンからディスクを作成し,その表面にコーティング剤を塗布した後,紫外線を照射した.処理後にディスクを人工睡液中に浸漬し,高速液体クロマトグラフィーとフローインジェクション分析により,メチルメタクリレートとホルムアルデヒドの溶出濃度を経時的に定量した.その結果,無処理の対照レジンディスクと比較して,コーティング処理により両溶出物の濃度は著しく低下した.紫外線重合型コーティング剤によるレジンの処理は,義歯表面の滑沢化だけでなく,メチルメタクリレートおよびホルムアルデヒドの溶出性に対する抑制効果もある.