抄録
光硬化型と従来型グラスアイオノマーセメント(修復用2種,裏層用2種)の曲げ強さ,弾性率,弾性ひずみエネルギーを比較検討した.また,窩洞に充填した光硬化型と従来型修復用セメントに,多数の金属小球を繰り返しぶつけ,窩洞辺縁と材料表面の劣化を光顕および電顕で観察した.光硬化型は従来型に比べて,曲げ強さが大きく,弾性率が低く,弾性ひずみエネルギーが大きい事がわかった.また,光硬化型では辺縁や表面の劣化が少ない事が観察できた.これらの結果から,グラスアイオノマーセメントに光重合レジン成分が添加されたことで,グラスアイオノマーセメントの脆性が減じ,材料が永久変形をおこさずにより大きなエネルギーを吸収しうるようになった事が示された.3ヵ月間の水中浸漬で,弾性率が有意に増す材料は,変化しない材料に比べて,セメント中に占める酸-塩基反応の割合が大きく,長期にわたってセメント反応が持続する事を示唆していた.