物理探査
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論文
カラー画像化された地中レーダに対する深層学習
磯 真一郎石塚 師也尾西 恭亮松岡 俊文
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2019 年 72 巻 p. 68-77

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抄録

地中レーダの解析は,地下構造の比誘電率の違いによる生じる特徴的な反射波の形状に対して,熟練技術者が目視により走時断面画像上で解釈することで行われている。データ取得システムの技術の発達により,近年,大量の地中レーダデータが取得されるようになり,解釈すべきデータが著しく増大している。このため,解釈の自動化,省力化が期待されている。機械学習の一つである深層学習(ディープラーニング)による物体認識能力は近年大幅に向上し,多くの学習モデル・アーキテクチャが提唱され研究が進んでいる。とくに,AlexNetは生体の視覚野を模した畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolution Neural Network)などの手法を用い,深層学習精度向上の端緒を開いた標準的な学習モデルであり,多くの物体認識に適用が行われている。GPRに関する機械学習ではグレースケール画像を用いるのが一般的ではあるが,人間の目視による場合と同様にカラー画像を用いることで情報の欠落が少なく,より効果的な解釈結果を求められると考えられる。本論文では,AlexNetにカラー画像GPRデータを適応した結果を検証しカラー表示化した画像を学習した場合F値で0.9819,精度で0.9875と濃淡のみのグレースケール画像よりも,良い結果を得た。さらに,地中レーダのデータ解釈に最適な学習モデルを作成するための考察を行った。また,学習におけるモデル内部の出力などを検討し,今後詳細な判別をするための学習モデルの設計について考察を行った。

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© 2019 社団法人 物理探査学会
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