Dental Materials Journal
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クロルヘキシジン塩酸塩を配合した抗菌性根管充填用シーラーに関する研究
第1報 ベースとなるシーラーの組成の影響について
南部 敏之
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1984 年 3 巻 1 号 p. 56-70,129

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抄録
酸化亜鉛ユージノール系のシーラーについて,酸化亜鉛の熱処理やロジンの配合量の違いが,硬化時間と封鎖性に与える影響を検討した。酸化亜鉛とチョウジ油の練和物では,700°C以上で熱処理された酸化亜鉛の粉末を用いた場合,急激に硬化時間が延長した。また処理温度700°Cの粉末を用いた場合に封鎖性は最も良くなった。この練和物へのロジン配合率について,5∼15%の場合硬化時間は延長したが,配合率が増加するにつれ短縮し,30%で最小値となった。この傾向は硬化機序におけるロジンの影響が大きいことを示唆している。封鎖性は配合率の増加につれ良くなったが,臨床における操作性の点で,過大な粘着性をもつ配合率40%以上のものは実用的ではない。これらより抗菌性を持つシーラーのベースとしての酸化亜鉛ユージノール系シーラーは,700°Cで熱処理した酸化亜鉛を含み,ロジンが30%配合されているものが適しているといえる。
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© 日本歯科理工学会
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