抄録
口腔内における歯科用インプラントの成分元素の挙動を考察する基礎的資料を蓄積するために,5種類の市販インプラント:アパセラム,バイオセラム,フリーデザインブレードインプラント,形状記憶プレードインプラント,バイタリウムと松本歯科大学で試作したハイドロキシアパタイトコーティングインプラントをリングル液,1.0%乳酸溶液,0.05%塩酸溶液の3種類の溶液に7日間全浸漬し,成分元素の溶出について検討した。溶出元素の定量は,誘導結合プラズマ発光分光分析装置で行った。その結果,バイオセラムを除く5種類のインプラントに成分元素の溶出がみられ,アパセラム,ハイドロキシアパタイトコーティングブレードインプラントについては,きわめて強い脱灰現象がみられた。また,形状記憶ブレードインプラントからは,微量ではあるが,Niの溶出がみられた。