抄録
補綴物を製作する上で最も重大な関心事は,その補綴物に最適なデザインを決定することであろう。とくにパーシャル・デンチャーにおいては,このことは不可欠な問題である。この問題を解決するために従来から,パーシャル・デンチャーの鈎歯の機械的な挙動を分析することによって判定しようとする試みがストレイン・ゲージ法,光弾性法,有限要素法,その他の方法を用いてなされ数多くの報告がある。しかし,いずれも三次元的な観察が困難であったり,物性値に問題があるなどの難点がある。
著者らは,鈎歯の三次元的な挙動を分析するためにMKGを応用することを試み,今回,そのMKGの特性について検討した。その結果,MKGのディスプレー上に表示される運動記録にはかなりのひずみが生じるが,近似的な補正が可能であり,鈎歯の挙動の定性的な観察には有効な方法であることが判明した。