Dental Materials Journal
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人歯牙象牙質のねじりにおける動的ずり弾性率
有川 裕之井上 勝一郎
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1988 年 7 巻 2 号 p. 182-187,233

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抄録
人歯牙の種々の物性についての報告は比較的少なく,未解明の部分が多い。なかでも歯牙の粘弾性的性質は口腔内における修復材料の挙動に大きく影響するものとみられることから重要である。本研究ではねじれ自由減衰型粘弾性測定装置をもちいて人歯牙象牙質の動的ずり弾性率の測定を試みた。
試料は履歴の判明した新鮮抜去歯をマイクロカッターにて短冊状に切断し測定に供した。測定は雰囲気温度を1°C/minの速度で昇温し,23°Cから150°Cの温度範囲にわたっておこなった。
弾性率(G)は温度の上昇に伴ってわずかに大きくなる傾向がみられたが,温度による弾性率の変化は小さかった。損失率(tanδ)は75°C付近にピークがみられた。37°Cにおける20個の試料の弾性率の値は小さいもので5.77×1010dyne/cm2,大きいもので1.06×1011dyne/cm2であった。各試料の弾性率と試料を作成した歯牙の履歴との間に明確な相関はみられなかった。
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© 日本歯科理工学会
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